沼津市議会が9月定例会最終日となる10月16日、沼津市長が山下市議を相手に提訴を行う議案を賛成多数で可決しました。しかしこの訴訟には正当な根拠はなく、多額の訴訟費用を血税から支出する合理性がないとしてこの支出の監査を求める請求を行いました。
内容については以下の通り---------------------------------------------------------
沼津市職員措置請求書
沼津市長が山下富美子市議に対する訴訟(不当利得返還請求)を行わないことの
措置請求の要旨
1 請求の要旨
沼津市長(以下、「市長」という)が、山下富美子市議(以下、「市議」という)を相手に訴訟を行う議案が市議会で可決された。しかし、この訴訟には正当な根拠はなく、多額の訴訟費用を血税から支出する合理性がない。
<1> 問題となっている土地が市の所有地であることを証明する証拠がないこと。
問題の土地は市の道路拡幅の公共事業にともない、市議の父(植松氏)の宅地の一部を買収するにあたり、代替地として用意していた3筆の土地のうち2筆である。
市長は、問題となっている土地を払い下げず、金銭で支払ったと主張しているが、「支払いを証する書面はない」という(市側の代理人弁護士文書)。市議会でも同様の答弁をしている。支払ったことを証明する振り込み書(誰のどの口座にいつ払ったか)、公共事業用資産の買取り等の証明書が、何一つ示されていない。
市は議会で問題の市有地 2 筆について「その当時、相手方より払下げの申請がなされなかった」と主張するが、これについても証明する証拠がない。
これら証拠書類について、市は「文書保存期限を過ぎたのでない」と市議にのべているが、後段でふれるが当時の買収、移転補償、租税特別措置などに関する一連の書類は市議に開示されていることから、植松氏に対し代替地ではなく金銭支払いを行ったことを証する書類がないとするのは、保存期限ではなく、もともとないと言える。
<2>市は問題の市有地を植松氏の土地買収の代替地として払い下げ、買収代金を相殺したこと。
土地収用法に基づく買収の代替地として下香貫の土地1筆と問題となっている市有地2筆を提供し、代金が相殺される確認書と、それを説明する計算書が存在する。代替地は市が買収する土地と同面積、同価格を原則として提供されるが、まさにそのような確認書と計算書である。そして、植松氏が租税特別措置法の代替資産を取得した場合の課税の特例を適用できるように、市は協議している。
確約書には、「契約により2年以内で、下記市有地を払い下げる場合には㎡当たり243,700円(坪当たり805,600円)で払い下げることを確約します」と書いてある。これは市有地の価額を示し、買収契約を完了させるためのもので、金銭で払うこと示したものではない。このようなスキームを計算書、確認書として市が示しながら、その通り執行しないことはありえない。
土地収用法に基づく土地買収、代替地の提供、移転補償金のスキームは市民にとって準強制的なものである。市は代替地の一部(問題の土地)を払い下げ(相殺)しなかったと主張するが、その理由を植松氏から払い下げの申請がなかったというなら、この事実を証明するもの示さなければならない。その証明はまったくない。
確認書は平成5年2月5日にかわされ、同年2月8日に市、植松氏、香貫の代替地提供者の3者契約が締結され、同年3月22日に市は問題の土地2筆を分筆登記し、1年以上経て翌年度の平成6年5月30日に市が受付印を押している。年度をまたぐ1年3か月の間に、移転補償、工事、代替地の相殺が行われ、完了したことを示しているといえる。
この確約書の市の受付の平成6年5月30日の翌々日の6月1日に、植松氏は沼津税務署に対し受け取った補償金の課税延期の申し出を行っている。一連の土地収用事業が完了したので税務処理したと言える。
この平成5年から6年の間に、市が代替地2筆を払い下げず金銭で買収したことを示す書類は何ら出てきていない。
<3>植松氏にかわって市の担当職員が契約書、確認書、移転補償の変更・実施など一連の書類への署名を書いていること。植松氏は、市の言うとおりに捺印していたこと。
植松氏の一連の署名は自身の筆跡ではなく、担当の市職員の筆跡と同一のものであることがわかる。植松氏は市を信頼し事務手続きの一切をまかせていたといえる。
市は植松氏から「払下げの申請がなされなかった」と主張するが、当時、一連の書類は市職員が作成していることから、「申請」の書類を市職員が作らなかったか、もしくは市有地をもって相殺する相対取り引きであるから、ことさら契約書はいらないと考えたかのどちらかと推認できる。
代替地を用意しながら、その払い下げ(相殺)だけ行われなかったということはあり得ない。
なお登記の問題であるが、契約書では市が「遅滞なく所有権移転登記を完了する」とされているので、相殺による所有権移転の登記がないのは市側の責任である。移転登記を懈怠していることをもって、市の所有地だと主張することはおかしい。登記は言うまでもなく、第三者に対する対抗要件であって所有権を証明するものではない。
<4>市長と市議の真摯な協議が尽くされていないこと。話し合い不十分。
市は、山下市議の代理人弁護士から、昨年(令和4)11月29日付で「当該市有地の払い下げを受けて、この問題を解決したいとの申し出がありました」(9月29日市議会議事録4P)とのことをあげ、その後市議が「請求に応じない」と説明をしている。これは一方的な主張である。市議の2人目の弁護士が、本年7月27日付通知書で、代理人が交代したこと、「沼津市もまた本件土地を通知人又は前所有者の所有地と認める対応をされてきたこと」をふまえ、「請求に応じかねます」と主張している。市議は代理人を変え新たな事実をふまえ、主張をより明確にしていると見受ける。
この時点から、市長、市議双方の主張をすり合わせ協議が進められるのが常識である。市議は開示された情報をもとに、市側に協議を求めているが、市長はこれに応じる姿勢がないと見受ける。協議は尽くされていないし、話し合いでの解決の余地は十分あるとみる。
(小括)
本件の確認書によって、市と植松氏の市有地払い下げの契約意思が確認されて、平成5年2月5日から平成6年5月30日かけて実行されたことを示している。問題の土地は植松氏が代替地として取得した所有地と認める蓋然性が高い。市の所有地であるとする主張の根拠はない。市長、市議双方の協議の余地はあり、話し合いで解決すべきである。
請求する措置
市長は山下富美子氏に対する提訴を行わず、訴訟費用に市民の血税を支出しないこと。
提出後は報道各社からのぶら下がり記者会見を行い提出代表者となった事務局長沓澤が説明をしました。
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